先日、グラム染色セミナーを開催するにあたって読みました。
誰もが疑問に思うことを地道に検証し、明らかにするということは意外と難しいことです。本当に感服致します。
またこれでグラム染色の指導を行う際にも、根拠を持って説明ができます。貪食像=起炎菌であることの十分条件ということですね。
背景:一般的に、喀痰のグラム染色における貪食像の存在は下気道感染症の特徴であると考えられている。しかし、下気道感染症におけるグラム染色の貪食像の意義や診断精度を評価した研究はない。
方法:2012年12月から2015年4月までの間に杏林大学病院の入院および外来で呼吸器症状を有する患者から得られた喀痰サンプルをグラム染色(フェイバー法)により、痰の質および貪食像を評価する前向き研究を行った。
結果:163名の患者が登録された。患者は、喀痰の評価の前に、臨床所見または放射線学的所見に基づいて感染群(n = 93, 肺炎が68.8%, 気管支炎が25.8%)または非感染群(n = 70)に分類された。貪食陽性者は感染、非感染群で同等だった(49.5% vs. 35.7%, p= 0.11、Geckler4-5に限っても同様。)。感染群において、菌の貪食率(/100WBCs)は非肺炎球菌(H. influenzae, M. catarrhalis, MSSA)と比較し、肺炎球菌で有意に低かった(3%[IQR 2-5%] vs. 22.5%[IQR 17-35.5%], p= 0.005)。ただ、非感染群では肺炎球菌の貪食像は認めなかった。ROC解析において、貪食率のカットオフを3%とすると感染症の診断精度は、感度50%、特異度65.7%、AUC 0.579[95%CI 0.464 to 0.694]だった。非肺炎球菌に限ると、貪食率は感染群で有意に高く(22.5%[IQR 17-35.5%] vs. 6%[IQR 3-13%], p= 0.011)、貪食率のカットオフを18%とすると感染症の診断精度は、感度70%、特異度85.7%、AUC 0.902[95%CI 0.75 to 1.00]だった。
結論:この研究は貪食像が必ずしも感染の指標にならないこと、貪食率が病原体によって異なることを示唆する最初の報告である。
肺炎球菌がその厚い莢膜や補体への影響などのため、貪食を回避することは有名ですが(実際、むしろ常在菌が貪食されていたりする)、このことをきちんと前向き研究で確認できたことは非常に大事なことです。また当然ながら、質の高い下気道検体でわずかでも肺炎球菌の貪食があれば起炎菌である可能性は非常に高いとも言えそうです。
またブドウ球菌は定着でも10%程度の貪食率があるようです。この辺りが、院内肺炎においてブドウ球菌の関与を考えるかどうかのカットオフの参考になればと思いますが、どうなのでしょう。
感染成立に必要な菌の数も、宿主反応も病原体により様々ですので、やはり貪食像(および貪食率)はいくつかある起炎菌を示唆する所見の一つであるという認識で良いようです。
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