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白衣やスクラブによる病原微生物の伝播

耳の痛い話です。私物の洗濯回数まで突っ込むのはなかなか難しいですが、リスクを認識することは重要です。


【背景】細菌、特に多剤耐性微生物(MDRO)の水平感染は、世界中の病院で依然として重要な関心事である。いくつかの研究では医療提供者が病院内での生物の伝播に関与していると示唆されているが、他の研究ではこの概念を裏付ける証拠は限定的であるとされている。

【方法】PubMedにて1990年から2018年にかけて、白衣と外科用スクラブに特に焦点を当てて、医師、看護師、または研修生の服装からの細菌汚染または拡散の研究を検索・特定した。合計214の論文が確認された。これらのうち169は要約レビュー後に除外され、33は徹底的な完全原稿レビュー後に除外された。

【結果】22件の論文が対象となった(横断的研究:16(73%)、無作為化比較試験:4(18%)、コホート研究:2(9%))。結果は、微生物汚染、抗生物質耐性、提供者の種類、布地の種類、抗菌コーティング、および洗濯慣行によって分類された。医療従事者の服装は一般的にMDROに汚染されており、白衣はスクラブよりも洗濯の頻度が少なかった。研究において使用されている布地と洗濯方法にはかなりの違いがあった。

もっとも多い汚染は黄色ブドウ球菌だが、アシネトバクターや緑膿菌も含まれる
以下は各研究の結果から
・化学繊維よりも綿の方が汚染が少ない(菌の足場になりにくい?)
・抗菌コーティングは有意でないが、MDROが減る
・自宅で洗濯していると大腸菌汚染が増える

【結論】調査結果によると、医療従事者の服装は、医療現場における病原性細菌感染の潜在的な原因であることが示唆された。しかし、医療従事者の服装と医療関連感染との間の直接的な関連性を裏付けるデータは依然として限られている。この記事で概説した提案は、院内感染を引き起こす可能性があるMDROを含む細菌性病原体の蔓延を減らすためのガイドラインとして役立つかもしれない。

確かに白衣の洗濯頻度は低いかもしれません。またポケットにも色々入ったままになっていることが多いですから。
手指衛生をしっかりしていれば伝播へのインパクトは小さいと考えられ、介入による効果はそれほど高いとは考えにくいですが(そもそもデータがない)、長袖・長白衣を着用される方は特にきちんと洗濯された方がよいと思います。医師とそれ以外で環境も意識も大きく異なりますので、もしやるなら介入の方法は色々検討すべきでしょうね。
とりあえず皆様白衣を洗濯に出しましょう(病院で)。

by vice_versa888 | 2019-05-24 02:17 | 感染制御 | Comments(0)

私見と自分の勉強のための備忘録です(感染症を中心に呼吸器および内科全般)。何か間違いがあればご指摘いただければ幸いです。臨床と研究、GeneralistとSpecialist、仕事と家庭、理想と現実。最適解がわからずいつも悩んでいますが、揺れ動く自分の立ち位置を確かめながら前進したいものです。


by vice_versa888