MDROの中でも耐性グラム陰性桿菌は治療においても感染管理上もやっかいなやつですが、本邦でもようやく抗菌薬の選択肢が増えてきました。
ただ、せっかく増えた選択肢をなくしてしまわないように上手に使ってあげる必要があります。
新規抗菌薬シリーズとして、いくつか紹介してみようと思います。上質なレビューは他にもあると思いますが、なるべく自分の視点で。
まずC/T、ザバクサから取り上げてみようと思います。
2019年に上市された、セフェム系抗菌薬(Ceftolozane)としては24年ぶりの新薬です。
Ceftolozaneのポイントとしては
- 抗緑膿菌活性
- (CAZと比較して)AmpCに対して安定 (すべてのAmpCに安定というわけではない)
- カルバペネムと比較してporin欠損や排出ポンプの過剰発現に強い (カルバペネマーゼには分解される)
- TAZと併用することで ESBLに対して安定になる
とされています。
Studyの結果は以下の通り。
複雑性尿路感染症:非劣性 (vs. LVFX) 、複雑性腹腔内感染症(+MNZ):非劣性 (vs. MEPM) 、人工呼吸器関連肺炎:非劣性 (vs. MEPM)
1) Lancet 2015;385:1949-56
2) Clin Infect Dis 2015;60:1462-71
3) Lancet Infect Dis 2019; pii: S1473-3099(19)30403-7
C/Tのsystematic literature reviewがあったので、こちらを紹介しつつ使い所を考察してみましょう。
◯83の研究(61件が査読つき雑誌、22件が学会発表 症例報告なども含む)、3701例の患者が含まれていた。
◯Focusとしては肺炎/気道感染症(52.9%)、尿路感染症(14.9%)、腹腔内感染症(10.1%)であった。また、皮膚軟部感染症(7.1%)、骨・関節感染症(6.1%)、菌血症(4.2%)にC/Tを使用したという報告もあった。
◯1751例(47.3%)がICUに入室していた。
◯1294人(35.0%)の患者では、原因となる病原体が特定されていなかった。同定されていたうち、大部分がP. aeruginosa(90.7%)を検出しており、
そのうち14.0%が非薬剤耐性(または耐性レベルが明記されていない)、72.3%がMDRP、13.4%がXDRP、0.2%がPDRPであった。
◯C/Tは通常1.5g×8h(尿路または腹腔内)、あるいは3g×8h(HAP/VAP)で使用されるが、投与量・投与期間とも報告による差が大きい
◯臨床的成功率は45.7~100.0%で、70%以上の臨床的成功率を報告したのは27件(69%)であった。微生物学的成功率は31~100%で、70%以上の微生物学的成功率を報告したのは14件(74%)だった。死亡率は0~50%で、31件(69%)で20%以下と報告している。
◯C/T治療開始が遅れることが転帰の悪化につながる可能性(5研究)
◯緑膿菌の耐性プロファイルが転帰に影響するかどうかは結論付けられない(あり/なし、それぞれ1研究ずつ)
◯他の抗菌薬との比較(基本Retro);アミノグリコシド+ポリミキシンとの比較ではC/Tの方が臨床的治癒率は高い傾向(一部は有意差)。死亡率も低い傾向がある。
標準治療との比較でも同様の結果。
総括すると
◯C/Tは耐性緑膿菌による肺炎を中心に使用されている
◯臨床的治癒率・微生物学的治癒率は臨床試験と比較して、そう遜色ない結果
◯むしろ他の治療と比較した場合、成績が良い可能性も示唆
ただし、多くがRetrospectiveな小規模研究であり、出版バイアスも当然あるので、過剰評価している可能性は十分にある、といえそうです。
さて、本邦において耐性緑膿菌(MDRP以上)はそれほど検出頻度が高くなく、諸外国と比べて大きく異なる点です。
MDRPによる重症感染症であった場合、確かにEmpiric therapyで外してしまう可能性はあり、臨床的転帰に影響することは想像されますが、
かといって重症例におしなべて使用するほどの耐性菌の状況になっていないのが現状です(カルバペネムもですよ)。
したがって、本邦においてC/TはEmpiric therapyとして用いるべき薬剤ではないと考えています。一方で、アミノグリコシドなどと比較して安全性に優れている薬剤であることは間違いなく、対象が他の抗緑膿菌活性のある抗菌薬で治療しにくい場合のDefinitive therapyとして重要な局面で効果を発揮することは期待したいところ・・・だったのですが、
2020年12月一部のロットで無菌試験の規格に適合せず、自主回収となり、以降まだ流通再開の目処はたっていません。
(不必要に使用が増えることなく済んだということで結果的には良かった?)
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