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嫌気性菌菌血症と大腸癌リスク

S. gallolyticus(S. bovis)菌血症に大腸癌を合併することは有名ですが、S. gallolyticusに限った話ではないのかもしれません。

Justesen US, Nielsen SL, Jensen TG, Dessau RB, Møller JK, Coia JE, et al. Bacteremia with Anaerobic Bacteria and Association with Colorectal Cancer: A Population-based Cohort Study. Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America. 2022.



【背景】S.bovisまたはC.septicum菌血症と大腸がん(CRC)のリスク上昇との間には、よく知られた関連がある。我々は、CRCと腸内細菌叢に属する他の細菌による菌血症との間に同様の関連が存在する可能性について調査したいと考えた。

【方法】2007~2016年に南デンマーク地域およびシェラン地域において、45774件の菌血症エピソードと231387件の血液培養陰性例を含む人口約200万人を対象としたコホート研究を実施した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を用いたCox回帰分析を実施した。

【結果】S.bovis菌血症(1年以内のCRCリスク:4.3%、HR[95%CI]:8.46[3.51-20.4])、C. septicum菌血症(20.8%;76.2[42.0-138] )ではこれまでの知見同様、CRCリスクとの関連が示された。

さらに、Bacteroides ovatus、Bacteroides uniformis、Clostridium tertium、Fusobacterium spp. (F. necrophorum除く)、グラム陽性嫌気性球菌も血液培養陰性患者と比較してCRCリスク上昇に関連していた。

【結語】特定の腸内細菌叢の嫌気性菌による菌血症は、CRCの診断の高いリスクと関連しており、このような症例における大腸検査が必要であることを示している。


ちなみに頻度として多い大腸菌や黄色ブドウ球菌菌血症は大腸癌リスクとの関連がありませんでした。

またClostridium属やBacteroides属は菌血症発症からCRC診断までの日数が比較的近いもの(<14d)が多く、これらの多くは進行がんなのだろうと推定されます。実際腫瘍そのものに関連した腹腔内感染症ではこれらの菌を単独、または混合感染として見ることがあります。

また、いずれの菌血症においても大腸癌検出例自体が多いわけではないため、上記のような明らかな腫瘍を除いて考えた場合にどの程度臨床的インパクトがあるかといえば、、、微妙なところでしょうか。

そもそもS.gallolyticus(S. bovis)菌血症自体も、リスクは他の嫌気性菌菌血症と変わらずすごく高いわけでもないようですから、

あくまで「意義不明の嫌気性菌菌血症は大腸癌リスクの一つと考え、他のリスク因子と合わせて大腸癌検索を考慮すること」ぐらいのスタンスでよいのかもしれません。


by vice_versa888 | 2022-07-26 01:37 | その他 | Comments(0)

私見と自分の勉強のための備忘録です(感染症を中心に呼吸器および内科全般)。何か間違いがあればご指摘いただければ幸いです。臨床と研究、GeneralistとSpecialist、仕事と家庭、理想と現実。最適解がわからずいつも悩んでいますが、揺れ動く自分の立ち位置を確かめながら前進したいものです。


by vice_versa888