色々ありましたが(?)ようやく肺炎診療ガイドラインが発刊されました(日本呼吸器学会会員はDL可、販売は2024/4/5〜)。
日循みたいにすべて無料公開とはなっていないのは確かに残念ですが、いずれBreakthroughしたいなと思っています。
というわけですべてを公開することはできませんが、私が個人的に重要と思った変更点を私見も交えて紹介します。
1)NHCAPが残った
ただし、後ほど述べますが広域抗菌薬使用に関してはより厳しくなっています。
2)Multiplex PCRの記載
コロナ禍で採用される病院が増えたことが一因でしょうか。色々みられて面白いですがハードアウトカムには繋がらないので、薬剤費とか入院費とかコストをどれだけ減らせるかが今後の課題でしょうか。早く次のパネルが使えるようになってほしいです。
3)CQsおよびSR(システマティックレビュー)で変更があったところ/追加されたところ
【CAP】
・重症例のステロイド使用
・ニューキノロン系抗菌薬のSR
治療について最も大きく変わったのは重症市中肺炎に対するステロイド投与ですね。
しかし、何のためにキノロンのSRが組まれたのか...。
エンピリック治療の一番ではないにしてもあちこちにレスピラトトリーキノロンの記載があるのがとても気になってしまうのと、いつも記載される順序に何か意味があるのかなと勘繰ってしまうんですが...。
ちなみに結核患者にキノロンをうっかり処方してしまうことについて繰り返し警鐘されていますが、キノロンに限らずどの抗菌薬でもある程度肺炎が良くなったようにみえることがあります。とにかく結核を疑うことに尽きます。トスフロだから良いとかそういうことはないです。
【NHCAP】
・empric therapyで緑膿菌カバーは不要
・1週間以内の短期治療については推奨度決定不能
・CAP/NHCAPの耐性菌リスク因子のSR
より耐性菌リスクの高い患者を選別するためにNCAPが定義されましたが、結局うまく識別できないのでHCAPがなくなった経緯があります。本法ではこのHCAPを参考にNHCAPという概念が作られたわけですが、結局このNHCAPでも耐性菌リスクのある患者を識別できないことがわかりました(でも消えなかった...)。
苦肉の策(?)的に今回はNHCAPの中でも耐性菌リスクが高いもの(重症なら1つ、非重症なら3つ以上)のみに広域抗菌薬を投与するというかたちになっています
またHNCAPについてもACPや在宅医療に関する記載が設けられています
治療期間についてはNHCAPを対象とした試験がなかったために推奨度決定不能となっています。
個人的にはあえてCAPと分ける必要はないと思いますし、CAPでもHAPでも経過が良ければ1週間未満となっているので、1週間未満で良いと考えて差し支えないと思います。
【HAP】
・empric therapyでルーチンの緑膿菌MRSAカバーは行わない
・1週間以内の短期治療
・HAP/VAPの耐性菌リスク因子のSR
HAPについては重症度が高いまたは耐性菌リスクが複数ある場合に広域抗菌薬投与を検討するとされました。ただこの場合の耐性菌リスクとしてICUでの発症、敗血症・敗血症性ショックが入ってますので、実質的にはCKDや抗菌薬使用歴、活動性低下といったことがリスクになりそうです。
【VAP】
・気管支鏡を用いた侵襲的培養検査を行わない
・empric therapyで抗緑膿菌活性のある薬剤の併用療法は行わない
・empiric therapyで非カルバペネム系抗菌薬を使用する
・比較的短期間の治療
診断のゴールドスタンダードがないけれども致死率の高い症候群ですが、治療については弱いながらもかなり先進的な推奨になっています。
SRでも抗緑膿菌活性のある薬剤の併用やカルバペネム系抗菌薬について検討されました。カルバペネム系抗菌薬は臨床的治癒率を改善させるがその程度はわずかであったとい結論づけられ、AMR対策の観点からもあえてカルバペネムをファーストチョイスとする理由はないとの見解でした。
【誤嚥性肺炎】
・嫌気性菌カバーの有無については推奨度決定不能
嫌気性菌をカバーすることの有用性は示されなかったが、どのような症例に有益であるかについては追加検証が必要とされました。
個人的には嫌気性菌カバーを行うことの害についてももう少し議論されても良いのかなと思いましたが、エビデンス不足なのはその通りですね。
【高齢者肺炎/終末期】
・CAP/NHCAP/HAPのどれかに関わらず「反復する誤嚥性肺炎や疾患末期、終末期とされる状態」であれば、個人の意志やQOLを考慮した治療・ケア
前回から引き続き重要な点です。これに関してはいずれ別の機会にまとめたいと思います。
ACPの導入やIllness Trajectoryの解説、Surprise Questionなどより具体的な内容が増えてますが、どのように話し合いを進めていくか、具体的に緩和ケアとしてどのように関わっていくか、この辺りは肺炎診療ガイドラインから逸脱してしまうのかもしれないので難しいと思いますが何か指針が必要だなぁと思っています。
・入院を要する高齢者市中肺炎の予後因子のSR
後ほど公開されるみたいです。
【予防】
・PCV15やRSウイルスワクチンの記載が追加
・質の高い口腔ケアは肺炎発症予防と生命予後を改善する可能性があるが、推奨度は弱く推奨になっていた(すべての施設、すべての症例で実施できるわけではないため、らしい)
(ここから先はほぼ私見)
ざっくりまとめると
○肺炎の重症度を評価する質の高い/簡便なツールはない
○抗菌薬選択は重症か否かよりも耐性菌リスク(それも複数の)
○初手から抗MRSA薬、カルバペネムは不要
(重症度、過去の検出菌、背景は考慮するが)
○肺炎で嫌気性菌カバーは(少なくともルーチンには)要らない
(きちんと診断をつけることが大事。肺膿瘍とか)
○外来治療でキノロンを選択するのは限られたケース
(もちろん疾患背景だとか治療のセッティングによるわけですが)
○治療期間は1週間未満
(もっと短くても良い。それより何を指標にしますか?)
○肺炎は今後の人生を考えるためのよいきっかけ
(肺炎は老人の友である)
肺炎はcommonであるが故、患者を一括りにするのは非常に難しく、エビデンスレベルの高い推奨はできませんし、どうしても意見は一致せず推奨度は低くなります。まだまだわかっていないことが多いなと気付かされました。それでも短期治療やde-escalationのエビデンスが少しずつ集積されてきましたし、ついに重症例でステロイドが推奨されることになりました。
治療に反応しない場合の戦略についても、もっと具体的に周知できると良いですね。これもエビデンスは乏しいですが。
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